スウィープの基本

ギターの速弾きでは定番とも言えるテクニックの1つ「スウィープ」についての弾き方を説明します。左手の運指が忙しいのはもちろんですが、それとシンクロさせるように右手を動かすテクニックがスウィープであり、慣れないうちは難度の高いテクニックです。

スウィープとは

スウィープとは英語で「sweep」と書き、意味は「(箒などで)掃く」です。ギターの演奏方法、演奏テクニックとしてのスウィープもこの意味が元になっていると思われ、右手の動きが「掃いている」ようにスーッと動くところがその由来でしょう。

スウィープによる演奏をする場合は、そのフレーズのほとんどが幅の広い音程の中を動きます。また、弦移動が激しいフレーズの場合にもスウィープを用いて演奏することが多いです。というよりは、弦移動の激しい速弾きフレーズを効率的に弾くために考案された、という方が正しいのかもしれません。


スウィープの譜例

スウィープで演奏される、または演奏することが望ましいというフレーズの例としては図のようなものが挙げられます。図1は5本の弦を移動するフレーズのため、俗に5弦スウィープと呼ばれます。1弦ではハンマリング、プリングによるフレーズが含まれてますが、その他は各弦に1音ずつ充てがわれています。これを真面目にオルタネイト・ピッキングで弾こうとするとかなり辛いことになります。さらに曲のテンポが早かったりしたときには、余程の熟練者でないとオルタネイトで弾くことは難しいと思います。

そこでスウィープという奏法が活躍することになります。このような1音1音に弦移動が必要となるフレーズを弾く場合にスウィープを用います。

図1. スウィープのTAB譜例

options scale=0.9 options space=10 options width=400 tabstave notation=true key=C notes :16 15/5 14/4 12/3 13/2 12h15p12/1 13/2 12/3 14/4 :8 15/5 :4 15/5 |

具体的な弾き方

ここからはスウィープの具体的な弾き方について見ていきましょう。図1に弾き方に関する説明を加えたものが図2になります。

左手について

運指は図2に記してあるのでそれを参考にして下さい。この形の運指は5弦スウィープの基本形の1つなので、十分に弾きこんでおくと色々なところで使えます。

フォームについて、スウィープフレーズを弾く場合は基本的にはクラシック式のフォームになるでしょう。しかし今回の譜例はロック式でもイケるので、ロック式でも構いません。今の例のように両方のフォームで可能ならば、両方のフォームで練習しておくと良いです。

右手について

最初の5弦15フレットから1弦12フレットまではダウンピッキングが続いており、ハンマリングとプリングを挟んだ後、今度は2弦13フレットから5弦15フレットまでアップピッキングが続いています。この同じピッキングが連続している部分は、ピックで弦を「掃く」ようにスーッと右手を動かしていきます。

図2. 運指とピッキング

options scale=0.9 options space=15 options width=480 tabstave notation=true key=C notes :16 15/5 $.am/bottom.$ 14/4 $.am/bottom.$ 12/3 $.am/bottom.$ 13/2 $.am/bottom.$ 12dh15p12/1 notes :16 13/2 $.a|/bottom.$ 12/3 $.a|/bottom.$ 14/4 $.a|/bottom.$ :8 15/5 $.a|/bottom.$ :4 15/5 | text :16,.25,小,薬,人,中,人,小,人,中,人,薬,小 options space=25

スウィープのコツ1 : 両手のシンクロ

難しいのは、右手の動きと左手の運指のシンクロです。左手は運指が忙しく、どうしても意識が左手に向きがちです。一方で右手の方は上下にスーッスーッと動かすだけなので動き自体は大したことはありませんが、この独特の動かし方のためにリズムが取りづらいです。オルタネイト・ピッキングであれば、左手で押弦すると同時に右手もピッキングすればいいので両手のリズムを合わせるのは簡単ですが、スウィープは両手の動きとリズムが異なるのでシンクロさせることが難しいです。

スウィープに初めて挑戦する人は、まずこの両手のシンクロができるように、また各々の手の動かし方を十分に練習しましょう。そうでないと音すら鳴りません。

スウィープのコツ2 : ミュート

両手のシンクロがある程度できてくると、それっぽいフレーズに聞こえてくると思います。ところが、それをアンプで通して弾くとノイズだらけになってしまうのではないでしょうか。スウィープはミュートも難しいのです。

スウィープのミュートは両手を使って行います。さらにそれぞれの手にミュートを担当する弦を割り当てることで行っていきます。どういうことか、具体的にスウィープの弾き方の流れを追いながら考えていきます。

スウィープの弾き方の流れ

# ポジション 左手 右手
0 - 最初の時点で2弦13fまでのフォームを作っておく。つまり人差し指は3弦12f、中指は2弦13f、薬指は4弦14f、小指は5弦15f上で待機させておく。 6弦のミュートを担当。右手手刀部分をあらかじめ6弦に当てておきミュート。
1 5弦15f 小指を押弦する。それ以外の指の関節や腹などで1〜4弦に触れておきミュート。 6弦のミュートを保ちつつ、5弦をピッキング。
2 4弦14f 小指は離弦し、薬指を押弦。それ以外の指で1〜3弦のミュート。 右手をそのままずらして、5〜6弦のミュートを行いつつ4弦にピックを当てる。
3 3弦12f 薬指は離弦し、人差し指を押弦。人差し指の関節や腹、中指で1〜2弦をミュート。 右手をそのままずらして、4〜6弦のミュートをしつつ3弦にピックを当てる。
4 2弦13f 人差し指を離弦し、中指を押弦。人差し指は1弦12f上に移動させ待機させる。人差し指や中指の腹で1弦をミュート。 右手をそのままずらして、3〜6弦のミュートをしつつ2弦にピックを当てる。
5 1弦12f 中指を離弦し、人差し指を押弦。 右手をそのままずらして、2〜6弦のミュートをしつつ1弦にピックを当てる。
6 1弦12-15-12f 人差し指は押弦したまま、小指で15fをハンマリング、プリングする。 右手は2〜6弦のミュートを保ちつつ待機。
7 2弦13f 人差し指を離弦し、中指を押弦。人差し指は3弦12f上に移動させ待機させる。人差し指や中指の腹で1弦をミュート。 3〜6弦のミュートは保ちつつ、2弦をピッキング。
8 3弦12f 中指を離弦し、人差し指を押弦。中指は2弦が鳴らなくなる程度まで浮かせればいい。 右手をそのままずらして、4〜6弦のミュートをしつつ3弦にピックを当てる。
9 4弦14f 人差し指を離弦し、薬指を押弦。人差し指は3弦が鳴らなくなる程度まで浮かせればいい 右手をそのままずらして、5〜6弦のミュートをしつつ4弦にピックを当てる。
10 5弦15f 薬指を離弦し、人差し指を押弦。薬指は4弦が鳴らなくなる程度まで浮かせればいい 右手をそのままずらして、6弦のミュートをしつつ5弦にピックを当てる。

この説明のように、スウィープ時のミュートは両手の動きに合わせて変化させます。1音毎に変化させることによってノイズのない綺麗なスウィープを演奏することができます。最初は思うように上手くいかないと思いますが、根気よく丁寧に練習していれば確実に力はついてきますから、途中でめげずに練習してみて下さい。


まとめ

スウィープ奏法の大まかなポイントは以下の2点。

  • 両手のシンクロ
  • 両手による細かなミュート

このページではスウィープについて5弦スウィープを例に説明しましたので、ついでに5弦スウィープの典型的なフレーズパターンについても以下のページで確認しておくと良いでしょう。

5弦スウィープの基本パターン(メジャー型) » 5弦スウィープの基本パターン(マイナー型) »

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