ギターのチューニングで一般的なものはレギュラーチューニングと呼ばれるものですが、それ以外のチューニングも存在します。そのうちの一つが半音下げチューニングというもので、バンドスコアなどには Half Step Down Tuning と書かれることが多いです。ここではこの半音下げチューニングについて説明します。
このページでは半音下げチューニングについて説明しますが、その前にまずレギュラーチューニングについてカンタンにおさらいしておくと、レギュラーチューニングとは、ギターの6弦から1弦までの開放音を6弦から順番に E - A - D - G - B - E の音に調節するチューニングでした。まずは、このレギュラーチューニングについてキチンと頭の中に入れておくことが大事です。レギュラーチューニングのより詳しい説明は以下を参考にして下さい。
それでは本題の半音下げチューニングとは何かというと、半音下げチューニングは、レギュラーチューニングのすべての弦の音を半音下げたチューニングというものです。例えば、半音下げチューニングの場合に6弦は何の音に調節すればいいのかというと、答えは E♭(または D♯)になります。また、5弦は A♭ (または G♯)の音に調節します。以下の表には、レギュラーチューニングと半音下げチューニングでの各弦の開放音をまとめてあります。
6弦 | 5弦 | 4弦 | 3弦 | 2弦 | 1弦 | |
---|---|---|---|---|---|---|
レギュラーチューニング | E | A | D | G | B | E |
半音下げチューニング | E♭(D♯) | A♭(G♯) | D♭(C♯) | G♭(F♯) | B♭(A♯) | E♭(D♯) |
上の説明で出てきた♯と♭の記号についてカンタンに説明しておきます。まず読み方について、♯は『シャープ』、♭は『フラット』と読みます。そしてそれぞれの意味は、♯は『半音上げる』、♭は『半音下げる』というものです。
上の説明のなかで、たとえば6弦の半音下げチューニングは E♭(または D♯)とカッコ書きを付け足してますが、これは同じ音になるものをカッコで付け足しています。つまり、 E♭ は D♯ と同じ音、 A♭ は G♯ と同じ音です。
ある曲を半音下げチューニングで演奏する場合は、バンドスコアなどのその曲の譜面のどこかに Half Down Step Tuning と書かれます。表記される場所は一般的に譜面の一番最初です。
ここからは、半音下げチューニングの具体的なやり方について説明します。とはいえ、チューニング方法の基本的な事はレギュラーチューニングのページで説明していることと同じですので、そちらのページを必ず一読して欲しいと思います。つまり、レギュラーチューニングをキチンと行えることを前提として、以下では半音下げチューニングのやり方を説明します。
ここではチューナーを用いてチューニングします。難しいことは何もなく、チューナーを半音下げチューニング用に設定にすれば、後はレギュラーチューニングのやり方と全く同じです。
チューナーには電源ボタンだけでなく、それ以外のボタンがいくつか付いていることが多いです。そのボタンの一つに『 FLAT 』と書かれたボタンがあります。チューナーの電源を入れた状態で、試しにこの FLAT ボタンを押してみると、チューナーの画面内に ♭ の記号が一つ表示されます。そして、もう一度押すとさらにもう一つ ♭ の記号が表示されます(全部で二つ ♭ の記号が表示)。そして、さらに押していくと一つずつ ♭ の記号が追加されていき、ある回数を過ぎると全て消えて元に( ♭ 記号が表示されていない状態に)戻ります。
もうお分かりかと思いますが、半音下げチューニングをしたい場合は、この FLAT ボタンを一回だけ押してチューナーの画面内に ♭ を一つ表示された状態でチューニングすればよいのです。このチューナーの設定さえ行えば、その後のギターのチューニング作業はレギュラーチューニングを行うときと全く同じ作業になります。
以下では、半音下げチューニングの大まかな流れを追っていきます。
チューニング開始。まずは6弦から。6弦を鳴らし、チューナーに E と表示されるようにペグを回して調節する
ここで注意があります。上では半音下げチューニング時の6弦は E♭ となるようにチューニングすると書きましたが、上記の手順内ではチューナーの表示として E となるように調節するとあります。これが何故 E♭ の表示でないかというと、事前のチューナーの設定で FLAT ボタンを一回押して画面に ♭ を一つ表示させましたが、これが ♭ 一つ分の表示になっているからです。
設定さえ行ってしまえば、後はレギュラーチューニングと全く同じ作業だ、と述べた理由はこのためで、以降の作業はレギュラーチューニング時と全く同じに行うだけです。
チューニングには他にも1音下げチューニングというものもありますが、これも半音下げチューニングとほとんど同じですので、まとめて確認しておくと良いと思います。