音楽において、音程を表す単位である「度」について。一言に「度」と言っても明確な音程をそれだけで表すことはできません。度はさらに細分化されて、そこで音程をはっきりと示すことができます。ここではGとD、GとD#の音程を例にして完全5度、増5度について説明します。
前ページ「度数の求め方」において、GとD#、GとDは同じ5度だということを書きました。以下の図は前ページのものを再掲しています。
そして、同じ5度でも正確な音程は異なるため、それをハッキリと示すために「完全」、「増」という単語を用いてGとD#、GとDの音程を区別するということだけ述べておきました。Gに対して、D#は増5度、Dは完全5度です。
ここではこの区別をどのようにして付けるのかを見ていきましょう。
Gに対するDとD#の音程の区別は、その音程を半音で数えた時の数によって行うことができます。Gを基準(スタート)として、D、D#までの音を半音ずつ数えてみましょう。その結果が以下の表になります。
Gからの半音数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
音名 | G | G# | A | A# | B | C | C# | D | D# |
この表からDは半音7つ、D#は半音8つ分だけGと音程があることがわかります。
まず注目すべきなものは、音程が半音7つの音です。度数が5度であり、かつ半音7つ分の音程を完全5度と言います。
上の表からGに対してDは5度、かつ半音7つの音程であるため、GとDの音程は完全5度と分かります。言い方を変えれば、DはGの完全5度上の音と言うことができます。
次に表のD#を見てみましょう。GとD#の音程はGとDに対して、同じ度数5度でも半音1つ分広い音程になっています。これを上で述べた完全5度を使って言い直すと、GとD#の音程は完全5度(GとDの音程)より半音1つ分広い5度と言えます。このような完全5度より半音1つ分広い5度のことを増5度と言います。
度数が5度で、音程が半音8つ分のものを増5度と覚えても良いですが、上記のように完全5度からの相対的な差(完全5度より半音1つ分広い)で考えるほうが良いと思います。
増5度を理解できたのならば、次のような疑問を思いつくかもしれません。
増5度が完全5度より半音1つ広い5度ならば、完全5度より半音1つ狭い5度はどうなるのか。
この答えが減5度というものです。
減5度とは、完全5度より半音1つ分狭い5度のことを表します。半音7つ分の音程が完全5度でしたから、それより1つ狭い減5度は半音6つ分の音程ということになります。
Gに対して完全5度上の音はD、増5度上の音はD#であることは既にわかっています。では、減5度上の音は何なのか。減5度は半音6つ分の音程ならば上の表からC#だとわかるじゃないか、と思うかもしれませんが、これは間違いです。
先に答えを述べておくと、正解はD♭です。
疑問を解くために以下の譜面を見て下さい。
譜面を見れば明らかですね。まず度数を求めるには、5線譜の線上と線の間を音符で埋めるということを度数の求め方で書きました。そして、埋めた後の音符の数が知りたい2音の度数であると説明しました。上の図から分かるように、Gに対してC#は4度であり5度ではないのです。5度なのはD♭なのです。したがって、Gの減5度上の音はD♭ということになります。
もちろんみなさんご存知の通り、C#とD♭は同じ音です。しかし、度数としては違うものとして扱われますので注意して下さい。また、GとC#の音程は増4度と言います。GとC#、GとD♭は音程こそ同じですが、その呼び方(名前)が異なります。このような音程を異名同音的音程と言います。
このページの内容をまとめると次のようになります。
これで5度についてはより詳しく理解することができました。それでは他の度数についてはどのように細分化されるのでしょうか。まずは、5度と同じように「完全」と付く音程について以下のページで説明していきます。