ギターの演奏方法の一つにヴァイオリン奏法(ボリューム奏法)というものがあります。ピッキングする時点ではギターの音量をゼロにしておき、ピッキング後に音量を上げることでヴァイオリンのような音を得る奏法です。ここではこのヴァイオリン奏法について少し触れていきます。
ヴァイオリン奏法(ボリューム奏法)を用いる際は、TAB譜上で図のようにヴァイオリン奏法で演奏する音符のところにクレッシェンド記号がついています。
図の例のTAB譜では、3つの音符それぞれにクレッシェンド記号が付いているので、それぞれの音を弾く際にその都度ヴァイオリン奏法を使用することになります。
ヴァイオリン奏法の具体的な弾き方は以下のような流れで行います。
上記手順の2番目では、音量がゼロのままピッキングしているのでこの段階では何も音は出ません。しかし、弾いた弦は振動しているので音自体はピックアップが拾っています。したがって、その状態で音量を上げればもちろん音は出力されます。
ヴァイオリン奏法では奏法手順の最初でギターの音量をゼロにしているために、弦をピックで弾いた瞬間に発生する「アタック音」が出力される音に入りません。これがヴァイオリン奏法の持つ独特な音色を作り上げています。
ヴァイオリン奏法ではボリュームの操作、つまりギターの音量を操作する必要があります。左手は弦を押さえるために使っており、右手はピッキングをしなくてはならないため、ボリュームをどのようにコントロールするかが難しいところです。
一般的に、ボリュームのコントロールには以下の2通りの方法が考えられます。
ギター本体のボリュームノブを用いて音量をコントロールする場合は、右手が忙しくなります。ピッキングした後にボリュームノブに手を伸ばし、徐々に音量を上げていくことになるためです。
ただし手を使う方が音量のコントロールが繊細に行えるため、自身が思い描くサウンドのニュアンスを出しやすいという利点があります。
「ボリュームペダル」というエフェクターを別に用意して、音量をコントロールすることも可能です。エフェクターは一般的に足で操作することになるため、両手は押弦とピッキングのみに集中することができます。
ただしペダルを足で操作するこの方法は、細かい音量のコントロールがなかなか難しく、思い通りのサウンドのニュアンスを出すことに苦労するかもしれません。