ギターの演奏方法の一つにアルペジオというものがあります。ギターを始めたばかりの人にとっては聞き慣れない単語かもしれません。アルペジオはコードを一音ずつ鳴らしていく奏法であり、単音弾きやコード・ストロークとはまた少し異なるものです。ここではこのアルペジオについて説明します。
アルペジオはイタリア語で Arpeggio という単語が元になっています。アルペジオという演奏方法はギター固有のものではなく、その他の楽器でも存在します。ギターの演奏方法としてのアルペジオといった場合は、一般的に、コード(和音)の構成音を一音ずつ鳴らして演奏することを言います。実際のところは一音ずつというより、コードの構成音を一弦ずつ鳴らして演奏する、といった方が近いかもしれません。
アルペジオの例としてCコードを用いて説明します。TAB譜は図1のようになります。
アルペジオで演奏すべき部分には、図1のように Arpeggio という単語と共にアルペジオで演奏すべき範囲を表す線が書かれていることが普通です。図1では Arpeggio と記しましたが、楽譜やバンドスコアによっては Arp. と略したものや let ring と書かれている場合もあります。let ring は一見するとアルペジオとは関連なさそうな文字列ですが、それが指示している演奏方法は Arpeggio と書くことと同じですので、同じものだと考えてもらって構わないと思います。
既にアルペジオの演奏方法については上で軽く説明していますが、図1を例にしてもう少し詳しく説明します。
ポイントは以下の2点です。
当たり前と言ってしまえばそれまでですが、アルペジオの演奏ではその演奏するコードを把握し、そのコードの形を事前に押さえておくことが大事です。例えば、図1を最初の音から一つずつ追っていくだけだと、5弦3フレット → 4弦2フレット → 3弦開放音 → 2弦1フレット → 1弦開放音、と順に押さえて弾いていくように考えてしまいがちです。ところが、Arpeggio の指示があることに注意し、それがどこからどこまでの範囲を指示しているのかをチェックすると、その範囲内の音はCコードを順に鳴らしているだけであることに気づくはずです。
アルペジオではここが一つのポイントで、楽譜をキチンと確認し、どのコードをアルペジオで演奏することになるのかを把握しておくことが大事です。
アルペジオの二つ目のポイントは、前の音を消さないことです。ギターソロのような単音弾きによるプレイが主なフレーズでは、一般的には前に弾いた音はキチンと消して次の音を鳴らします。そうでなければノイズになってしまうからです。ところがアルペジオではその逆で、前の音をキチンと残したまま次の音を鳴らします。