ギターのリズムパートのTAB譜にてたまにバツ印のようなものを見かけることがあるかもしれません。このバツ印はブラッシングという奏法を表しており、ブラッシングを混じえて演奏(主にコードを演奏)するテクニックをカッティングと言います。ここではこのカッティングについて説明します。
カッティングとはギターの演奏方法の1つのことで、一般的にブラッシングというテクニックを混じえて演奏することを意味します。そこで、まずはブラッシングについて見ていきましょう。
ブラッシングはミュートに関するテクニックの1つです。例えば、左手の人差し指から小指までのすべての指をギターの1〜6弦のすべての弦に触れさせます。指を触れさせるポジション(位置)はどこでもいいのですが、弦は押さえないようにして下さい。あくまでも弦にすべての指が触れているだけの状態を作ります。
この状態でストロークして全弦を弾くと、(当たり前ですが)音は鳴りません。ピックが弦に当たった時の『チャッ』というようなアタック音だけは鳴りますが、ジャラ〜ンという感じのしっかりとコードを押さえた時の音は鳴りません。これがブラッシングというテクニックです。
つまりブラッシングとは、弦の音は鳴らさずに弦にピックが当たった時の衝撃音のみを鳴らすテクニックのことを言います。
カッティングの具体例を見てみましょう。図1がそのTAB譜例になります。図1の譜例の中にバツ印が書かれていますが、このバツ印はその部分をブラッシングで弾くことを意味します。どのようなバツ印が書かれるかは譜面を書いた人次第なのですが、どのTAB譜においてもバツ印が書かれていれば、その部分はブラッシングで弾くという意味です。カッティングの譜面は図1のように、ブラッシングを表すバツ印が混ざったものになります。
図1を例にして具体的にカッティングを行ってみましょう。そのため、まずは図2の譜面をそのまま弾いてみます。図2はFコードを押さえて、それをジャン・ジャン・ジャン・ジャンと規則的に4回弾くだけの簡単な譜面です。
次に、今弾いたジャン・ジャン・ジャン・ジャンの2回目と3回目のところで、図3のようにコードを押さえている左手の指を浮かせるようにして弾いてみます。するとジャン・チャッ・チャッ・ジャンという感じに弾けると思います。これが図1の譜面の弾き方で、つまりはカッティングの弾き方になります。
チャッの部分は上で説明したブラッシングの部分ですが、この部分を弾いた時にピックのアタック音のみがなって音が途切れたはずです。ブラッシングのポイントは音を止めるだけでなく、このアタック音という小さな音を出すというところです。音が鳴ったり止んだりするとフレーズにリズム感と躍動感が生まれます。音を止めるだけなら休符でいいわけですが、ブラッシングのように小さなアタック音を入れておくと小気味よいリズムを作ることができます。
図1は非常にシンプルなカッティングでしたが、一般的にはより複雑な譜面であることが多いです。しかし、その分ノリの良いリズム感を作ることも多く、躍動感も得られるものになっています。図4には少し複雑なカッティングの例を挙げておきましたので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
ここまでで説明してきたカッティングの例では、セーハコード(このページ内ではFコード)を使ったものでした。この場合のブラッシングは、左手の指の力を抜いて弦を浮かせるようにすれば良いので左手の動き自体は簡単だったと思います。
ここで例えば図5のようなCコードのカッティングを弾くことを考えてみましょう。このCコードは開放弦を含んだフォームになっています。このように開放弦を含んだコードをオープンコードと言いますが、このオープンコードのカッティングはセーハコードのものより工夫が必要です。
なぜなら、セーハコードのカッティングのように左手の指の力を抜くだけではオープンコードの全弦をミュートできないからです。ミュートできないところは開放弦の部分で、これは開放弦が指で弦を押さえずに弾くものであることから当然ですね。
このようなオープンコードのカッティングについて、その弾き方を以下のページで見ていきます。