レギュラーチューニング(ハーモニクス音使用)

ギターのチューニングについて、音叉を用いると共にハーモニクス音も使用した方法を説明します。ハーモニクス音はギターを始めたばかりの時には少し特殊なものに見えるかもしれませんが、鳴らし方さえ分かってしまえばそれほど難しいものではありません。

音叉の音は440Hz、5弦開放音は110Hz

レギュラーチューニング(音叉使用)のページで少し触れましたが、音叉の音は440Hzの A 音であり、レギュラーチューニング時のギターの5弦開放音は110Hzの A 音です。周波数が2倍になると音の高さは1オクターブ上がるため、4倍の差がある音叉の音と5弦開放音は同じ A 音でも2オクターブの音の高さの差があります。音叉の音も5弦開放音も同じ A 音なので、それでチューニングすることは可能ですが、できれば高さも同じ音でチューニングしたいと思うのが普通でしょう。

そこで、ここではハーモニクス音という特殊な音を使ってギターのチューニングを行う方法を説明します。ハーモニクス音を使う場合は音叉の音と同じ高さの音を鳴らすことができるので、より正確にチューニングできるようになります。

ハーモニクス音

ハーモニクス音とは「倍音」とも呼ばれるものです。倍音という名のとおり、ハーモニクス音はある音の周波数の何倍かになる音のことを言います。そして、ギターにおいては、特定のフレット上で鳴らすことができるハーモニクス音をナチュラル・ハーモニクスと言います。ここで、特定のフレットとはどこのフレットなのかというと、5、7、12、19、24フレットが該当します。ナチュラル・ハーモニクスについてのより詳しい説明は以下のページで行っていますので、参考にして下さい。

ナチュラル・ハーモニクス »


ハーモニクス音の出し方

チューニングの説明の前に、まずはハーモニクス音について確認しておきましょう。

図1のようにギターの5弦5フレットバー上で弦に軽く触れる程度に左手人差し指(左利きの方ならば右手人差し指)を置きます。注意点としては、指を置く位置はフレットではなくフレットバーの真上であること、そして弦を押さえるのではなく置くだけの状態であることです。本当に触ってるだけの状態です。そして、その状態のまま5弦を右手で(左利きの方ならば左手で)弾くのですが、このとき、弦を弾いた瞬間に5弦5フレット上に触れさせていた左手人差し指を離してください。瞬間と言ってもそこまで厳密なものではなく、0.2〜0.3秒ほど遅れて指を離すくらいで大丈夫です。すると、ポワーン、といった感じの高い音が出ると思います。これがハーモニクス音という音です。

図1. ハーモニクス音を鳴らすときに指を置く位置

ギターのハーモニクス音の出し方

5フレット上でのナチュラル・ハーモニクスは2オクターブ上

ハーモニクス音については上記の説明で理解してもらえたかと思いますが、実はこの5弦5フレット上でのナチュラル・ハーモニクス音が音叉の音と同じであることをここで付け加えておきます。すでに音叉の音は440Hzであること、レギュラーチューニング時の5弦開放音は110Hzであることは説明したとおりですが、実は5フレット上でのナチュラル・ハーモニクス音はその弦の開放音の4倍の周波数の音になります。5弦開放音が110Hzですから、5弦5フレット上のナチュラル・ハーモニクス音はその4倍の440Hzの音になります。したがって、音叉の音と同じ音でチューニングするためには、5弦5フレット上のナチュラル・ハーモニクス音を鳴らし、それらを一致させればよいということになります。


具体的なチューニングのやり方

以下ではこのハーモニクス音を使ったチューニング方法を説明します。チューニングに関する基礎事項や、音叉を使ったチューニングは以下のページでも説明しているので、そちらも参考にしてください。

チューニングの基礎事項 » レギュラーチューニング » レギュラーチューニング(音叉使用) »

Step.1 音叉の音と5弦の音を合わせる

まず音叉の音と5弦5フレットのナチュラル・ハーモニクス音を合わせます。手順としては以下のように行って下さい。

  1. 音叉を膝の上やテーブルの上など、すぐに手に取れる範囲に置いておく
  2. ギターの5弦5フレット上でナチュラル・ハーモニクス音を鳴らす
  3. ハーモニクス音が止まないうちに、音叉の音を鳴らす

    音叉の鳴らし方はレギュラーチューニング(音叉使用)のページを参考にして下さい

  4. ハーモニクス音と音叉の音を比較して、音が合ってなければ5弦のペグを回して調節する
  5. 上記を音叉の音とハーモニクス音が一致するまで繰り返す

上記の手順で5弦のチューニングが完了したら、残りの6、4、3、2、1弦のチューニングはレギュラーチューニング(音叉使用)のページで説明した方法で行うことができます。

以下では、レギュラーチューニング(音叉使用)のページとは少し内容を変えて、残りの6、4、3、2、1弦のチューニングについてもハーモニクス音を使う方法を説明していきます。

Step.2 6弦のチューニング

5弦のチューニングが完了したら、6弦のチューニングを行います。ハーモニクス音を使って6弦をチューニングする場合は、6弦5フレットのハーモニクス音と5弦7フレットのハーモニクス音を合わせます。ここで新たに7フレット上でのハーモニクスが出てきましたが、そのハーモニクス音の出し方は5フレット上でのものと同じです。手順としては以下のように行って下さい。

  1. 6弦5フレット上のナチュラル・ハーモニクス音を鳴らす
  2. 6弦のハーモニクス音が止まないうちに、5弦7フレット上のナチュラル・ハーモニクス音を鳴らす
    このときの注意として、5弦に触れさせた指が6弦に触れないようにして下さい。もしハーモニクス音を鳴らした6弦に触れてしまうと音が止まってしまい、再び6弦のハーモニクス音を出すところからやり直すことになります。
  3. 両者の音を比べ、音が違うようなら6弦のペグを回して調節する
  4. 以上を6弦の音が合うまで繰り返す

図2. 6弦5フレットと5弦7フレットのハーモニクス音が同じ

6弦5フレットと5弦7フレットのハーモニクス音が同じ

Step.3 4弦のチューニング

次に4弦のチューニングを行います。以降の手順は6弦のチューニングと同じです。異なるところは鳴らすハーモニクスポイントのみですので、以降では細かい説明は省きます。途中で分からなくなったら6弦のチューニングの説明を参照して下さい。

4弦のチューニングで鳴らすハーモニクスポイントは、5弦5フレットのハーモニクスと4弦7フレットのハーモニクス音です。これらを聞き比べ、もし2音が一致しない(うなりが生じている)ようなら4弦のペグを回してチューニングします。

図3. 5弦5フレットと4弦7フレットのハーモニクス音が同じ

5弦5フレットと4弦7フレットのハーモニクス音が同じ

Step.4 3弦のチューニング

次に3弦のチューニングを行います。鳴らすハーモニクスは4弦5フレットと3弦7フレットのハーモニクス音です。回すペグは3弦のペグです。

図4. 4弦5フレットと3弦7フレットのハーモニクス音が同じ

4弦5フレットと3弦7フレットのハーモニクス音が同じ

Step.5 2弦のチューニング

次に2弦のチューニングを行います。ここで注意点があり、2弦のチューニング時に鳴らすハーモニクスポイントは、3弦4フレットと2弦5フレットになります。

ここが少し難しいかもしれません。4フレットのハーモニクスはなかなか出しにくいため、うまく鳴らせるまで苦労すると思います。4フレットのハーモニクス音を鳴らすコツとしては、図5のように4フレットバー真上よりも、ややヘッド寄りの位置に指を触れておくとハーモニクス音が出やすくなります。

図5. 3弦4フレットと2弦5フレットのハーモニクス音が同じ

3弦4フレットと2弦5フレットのハーモニクス音が同じ

Step.6 1弦のチューニング

最後に1弦のチューニングです。鳴らすハーモニクス音は、2弦5フレットと1弦7フレットです。

図6. 2弦5フレットと1弦7フレットのハーモニクス音が同じ

2弦5フレットと1弦7フレットのハーモニクス音が同じ

チューニングは好きな方法で

このページではギターのチューニング方法として、音叉とナチュラル・ハーモニクスを用いた方法を紹介しました。他のチューニング方法としては、チューナーを使う方法をレギュラーチューニングのページで、音叉を使うだけの方法をレギュラーチューニング(音叉使用)のページで説明しています。複数の方法があると戸惑ってしまうかもしれませんが、これらを試してみて自分のなかで楽な方法を選択してチューニングしてもらえればいいです。

いずれの方法を取るにせよ、チューニングはギターを弾く上で一番最初に行うべき準備ですから、キチンと演奏前にチューニングを行うことさえ習慣づけておきましょう。

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