ギターの演奏テクニックの一つである『チョーキング』について説明します。チョーキングはベンドとも呼ばれ、その名のとおり弦を引っ張り上げることで音を変化させるテクニックです。
チョーキングとは英語では「Bend(ベンド)」と言われ、「曲げる」と言う意味です。その名のとおり、弦を曲げることで音を上げたり下げたりと変化を付けるテクニックです。弦を曲げる度合いによって、半音や1音、2音など変化する音程も変わります。どのくらい曲げるとどの程度の音程が得られるのか、これを実際に自分でギターを弾いて確認することが大切です。
チョーキングは、譜面上では「C」または「cho」と表されます。また、「C」の前に「H」がついて「H.C」などと表記されている場合は半音チョーキングをあらわします。「H」は「Half」の頭文字で、「半分」を表す英単語です。また、2などの数字がついている場合は、その数字が変化させる音程を表していて、「2.C」なら2音チョーキングのことを意味します。「C」とだけ表記されている場合は、一般的には1音チョーキングを表します。
表記例と音程を以下の表にまとめたので、参考にして下さい。
記号 | 読み方 | 音程 | 音程(フレット数) |
---|---|---|---|
Q.C | クォーターチョーキング | 4分の1 | - |
H.C | ハーフチョーキング (半音チョーキング) |
2分の1(半音) | 1フレット分 |
C、cho | チョーキング | 1 | 2フレット分 |
1H.C | ワンハーフチョーキング (1音半チョーキング) |
1.5 | 3フレット分 |
2.C | 2音チョーキング | 2 | 4フレット分 |
ここからチョーキングの弾き方を説明していきます。例えば、図1のように2弦8フレットを1音チョーキングすることを考えます。
図1では上で紹介した表と違う表記になってますが、「Full」の文字とその下に上方向に曲げられた矢印とで1音チョーキングを表しています。
上の表の表記は市販されているスコアや教本での一般的な表記方法ですが、図1はWEBやコンピュータソフトでTAB譜を示すときに使われる表現です。
チョーキングの弾き方は、まず該当のフレットを押さえます。今の例なら2弦の8フレットです。このとき、2弦8フレットを押さえる指は人差し指ではなく、薬指、または中指で押さえます。さらに、押弦している薬指の後ろに中指、人差し指も添えて、これらの指も薬指と一緒に押弦します。このように複数の指を使って弦を押さえることで、チョーキングがやりやすくなります。実際にやってみると分かりますが、人差し指のみで引っ張り上げるのは難しい(力が結構いる)ですが、複数の指でなら弦を簡単に引っ張り上げられます。したがって、チョーキングを行う際は複数の指で弦を押さえておくことが基本です。
さらにネックを握るように、親指を6弦側のネックの裏から出します。このようなネックを握りこむようなフォームのことを「ロック式グリップ」、または単に「ロック式」と呼びます。ロック式のフォームは手首をひねることが簡単なので、チョーキング時の基本フォームになります。
ポジションを押弦したら、手首をひねる事で弦を上方向(6弦がある方向)に引っ張り上げます。このとき、人差し指を伸ばして押弦している弦より上側の弦(ここでは3、4、5弦)上に置いてそれらの弦に触れさせておき、不要な弦のミュートを行うようにしておくと良いでしょう。こうしておくと、チョーキング後のリリース時(チョークダウンのことで、チョーキングした音を元に戻す動作)に発生するノイズを防いでくれます。
チョーキングのポイントは以下の3点。