5線譜の読み方6(ダブルシャープとダブルフラット)

音楽記号の♯は半音上げる、♭は半音下げるという意味の記号であることは既に説明したとおりです。ここで、既に♯や♭によって音の高さが変化している音符をさらに半音上げたい、下げたい場合を考えます。このようなときに用いられる記号がダブルシャープ、ダブルフラットと呼ばれる記号です。ここではこれらの記号について説明します。

半音上げた後、さらに半音上げたい

5線譜の読み方5(調号と臨時記号)のページの最後で少し触れましたが、ここでは調号や臨時記号の♯で半音上がっている音符をさらに半音上げた音を表現したいということを考えます。例えば図1の譜面はト長調(イ短調)であり、譜面に書かれている音符はどちらもF♯の音を表しています。

  • 1つ目の音符は調号の♯を受けてF♯
  • 2つ目の音符は調号と臨時記号の♯があるが、この場合は調号の♯は無視されるのでF♯

5線譜の読み方5(調号と臨時記号)のページで説明したとおり、調号の♯と臨時記号の♯が同じ音符に掛かるとき、調号の♯は無視されて臨時記号の♯のみが有効となるので、例えば「調号の♯と臨時記号の♯の2つの効果が掛かって半音+半音=全音上がる」ということにはなりません。

この場合に困ることは、例えば図1のようにト長調の曲の一部分でF♯の音符を半音上げたいといった場合にどう表せばいいのか、ということです。ここではこのF♯をさらに半音上げるために用いられるダブルシャープという記号について考えていきます。

図1. どちらもF♯

options scale=0.9 options width=320 tabstave notation=true tablature=false key=G notes F-F#/4 | text .10, F♯,F♯,| text ++, .12, ファ♯,ファ♯,| options space=30

F♯の半音上げた音とGは同じ音であるため、ダブルシャープなど用いずに図2のようにGの音符を書けばいいと考える方もいるでしょう。もちろん、これはこれで正解なのです。ですので細かい話を抜きにすれば、ここでは別の表現方法を説明しているだけだと考えてもらって構いません。

図2. F♯の半音上はG

options scale=0.9 options width=320 tabstave notation=true tablature=false key=G notes F-G/4 | text .10, F♯,G,| text ++, .12, ファ♯,ソ,| options space=30

𝄪(ダブルシャープ)

まず先にF♯を半音上げるための表現方法を図3に示します。図3の2つの音符の左隣にバツ印のような記号が書かれていますが、これがダブルシャープという記号です。ダブルシャープの意味は調号や臨時記号の♯で半音上がっている音符をさらに半音上げるというものです。

F𝄪はF♯の半音上の音ですから、Gと同じ音の高さになります(図4)。

図3. F𝄪

options scale=0.9 options width=320 tabstave notation=true tablature=false key=G notes F##/4 F##/5| text .10, F𝄪,F𝄪,| text ++, .12, ファ𝄪,ファ𝄪,| options space=30

図4. F𝄪とGは同じ音

options scale=0.9 options width=320 tabstave notation=true tablature=false key=G notes F##-G/4 | text .10, F𝄪,G,| text ++, .12, ファ𝄪,ソ,| options space=30

𝄫(ダブルフラット)

ダブルシャープと同じように、調号や臨時記号の♭によって半音下げられた音符をさらに半音下げる記号もあり、これをダブルフラットと言います。図5-1の3つ目の音符に書かれている記号がダブルフラットです。ダブルフラットは♭2個をコンパクトに並べて表すので、バツ印のダブルシャープに比べて分かりやすいでしょう。

ダブルフラットは♭で半音下がっている音符をさらに半音下げるものですから、図5-2のようにダブルフラットのBとAは同じ音の高さになります。

図5-1. B𝄫

options scale=0.9 options width=320 tabstave notation=true tablature=false key=F notes B-B@-B@@/4| text .10, B♭,B♭,B𝄫,| text ++, .12, シ♭,シ♭,シ𝄫,| options space=30

図5-2. B𝄫とAは同じ音

options scale=0.9 options width=320 tabstave notation=true tablature=false key=F notes B@@-A/4 | text .10, B𝄫,A,| text ++, .12, シ𝄫,ラ,| options space=30

オクターブ違いには影響せず、有効範囲も小節の終わりまで

5線譜の読み方4(臨時記号♯と♭)のページで、臨時記号としての♯および♭はそれらが書かれた音符そのものにのみ影響し、オクターブ違いの音符には影響しないこと、さらに臨時記号の♯、♭の有効範囲はその記号が書かれた音符が属する小節の終わりまでであることを説明しました。ダブルシャープおよびダブルフラットも同様でオクターブ違いの音符には影響しませんし、その有効範囲もその小節の終わりまでとなります。

図6. オクターブ違いには無効、小節の終わりまで有効

オクターブ違いには無効、小節の終わりまで有効

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