音楽理論の音程について完全、長、短、増、減音程に関して説明してきました。ここではこれらに加えて新たに重増音程、重減音程というものについて説明します。
図1の譜面を例にして考えます。これまでのページで説明したことから、図1の C と F の音程は完全4度、 C と F♯ の音程は増4度であることは分かると思います。
それでは図1の C と F𝄪 の場合はどうでしょうか。この場合、度数については4度であることはすぐに分かると思いますが、細かく聞かれると困ってしまうと思います。F𝄪 は F♯ よりも半音高い音です。 C と F♯ の音程は増4度なので、 C と F𝄪 は増4度より半音広い音程ということになります。このように、増4度より半音広い音程のことを重増4度と言います。
図1に記されている 𝄪 というバツ印のような記号は、ダブルシャープと呼ばれるものです。 ♯ が半音上げるというものに対し、𝄪 は全音(半音2つ分)上げるというものです。
また、以下の例で現れる 𝄫 という記号は、ダブルフラットと呼ばれるものです。 ♭ が半音下げるというものに対し、 𝄫 は全音(半音2つ分)下げるというものです。
より詳しい説明は以下のページを参考にして下さい。
今度は図2を例にして考えます。図2の C と F は完全4度、 C と F♭ は減4度であることは分かると思います。それでは C と F𝄫 の音程はどうなるかというと、 F𝄫 は F♭ よりさらに半音下がっている音なので、減4度よりも半音狭い音程ということになります。このように、減4度より半音狭い音程のことを重減4度と言います。
完全音程より半音一つ分広い音程は増音程、半音一つ分狭い音程は減音程であることは既に説明しましたが(→音程と度数のまとめ)、上記のとおり、増音程よりもさらに半音一つ分広い音程は重増音程、減音程よりもさらに半音一つ分狭い音程は重減音程といいます。
上の説明では完全音程を例に説明しましたが、これらは長音程、短音程の場合でも同じです。
重増、重減音程も加えた音程のそれぞれの関係をまとめると以下のようになります。
重減 ↔ 減 ↔ 完全 ↔ 増 ↔ 重増
重減 ↔ 減 ↔ 短 ↔ 長 ↔ 増 ↔ 重増
念のために、長音程、短音程の場合についても確認しておきます。以下に2つの例を用いて長短系の音程の関係を示しました。
上の例1と例2には見慣れない記号が記されています。一つは ♯ と 𝄪 がくっついたもの、もう一つは ♭ が3つまとまったものです。これらはそれぞれトリプルシャープ、トリプルフラットと呼ばれる記号です。その意味については予想できるように、トリプルシャープは音を半音3つ分上げる、トリプルフラットは音を半音3つ分下げる、というものです。
トリプルシャープ、トリプルフラットはほとんど見かけることがありません。したがって、これらについては覚えなくても(知らなくても)大丈夫です。